EVENT 説明会・イベント

大学院生 鈴木健志先生が東邦医学会で「透析患者における皮膚ガス」を発表しました。

11月15日(金)大学院生 鈴木健志先生が出張中に積極的に取り組んだ研究、「透析患者における皮膚ガス」を東邦医学会で発表しました。

鈴木先生は腎臓専門医を目指して、川崎幸病院腎臓内科、長岡日赤病院腎臓内科で研鑽を積み、9月に大学に戻ってきました。透析における生体の変化をテーマとして、皮膚ガス成分をGC—MSで解析してきました。

皮膚ガスは血液情報に皮膚腺や表面反応に由来する情報が混在するため、解釈が難しい検体ですが、透析前後での変化を検討することにより、これまでよく分からなかった代謝変化が明らかとなってきました。

研究は結果のわかっている課題で形式的に論文を仕上げても、何も貢献できません。結果が見えないことに取り組まなくてはなりません。鈴木先生はまさに未開拓の領域に手をつけており、今後の展開が楽しみです。

 鈴木先生、貴重なデータを解析して頂き、ありがとうございます。オリジナリティの高い論文になります。最後まで頑張りましょう!

      文責 瓜田純久

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N型カルシウムチャネル研究会で講演させて頂きました。

 11月14日(木)京王プラザホテルで開催されたN型カルシウムチャネル研究会で講演させて頂きました。

東京慈恵会医科大学循環器内科 吉村教授が力を入れている研究会です。循環器を中心とした代謝研究会とでも言いたくなるような、臓器横断的な研究会でした。いかにして心血管イベントを減らすのか?臓器横断的に考えることがコンセプトであると理解でき、とても有意義な時間でした。

座長をして下さった心臓血管研究所 循環器内科部長 永島先生は、下北半島に旅行されたそうで、東北の歴史にとても詳しく、懇親会では歴史談義に花が咲きました。今度は津軽半島をドライブされるそうです。

帝京大学教授 内田先生の尿酸の講演も、とても勉強になりました。特にカルシウムチャネル拮抗薬で生じる浮腫のメカニズムについて、とても理解が深まりました。

東京医科大学総合診療科に在籍された後、地域医療に転じ、この研究会を長年支えている大野先生とも、総合診療についてお話しすることができました。関東の大学病院の総合診療科は、なぜか循環器内科をサブスペシャリティとする指導医が多く、大野先生もそのひとりでした。懇親会はコアメンバーの演者と座長が最後まで残り、N型カルシウムチャネルを肴に、美味しい酒が進みました。

 腸管、腎・尿細管は共有するトランスポーターが多く、一方グアニル酸シクラーゼは腸管と心臓で異なるサブユニットとして、水電解質の代謝に関与しています。臓器で共有するシステムは、改めて生体は一つの受精卵から発生したことを思い出させてくれます。分けずに考えることができる思考回路の構築には、基礎医学が必須です。大きな収穫を得た研究会でした。皆様、大変お世話になり、ありがとうございました。

                     文責 瓜田純久

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チョイス@病気になった時 「血尿が出た時」が11/16(土) 20:00-から再放送されます。

以前に記事(https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/soshin/int/news/News20190919-2.html)を掲載させていただいたチョイス@病気になった時 「血尿が出た時」が

11/16(土) 20:00-

から再放送されます。


ご興味のある方は是非ご笑覧ください。

https://www4.nhk.or.jp/kenko-choice/x/2019-11-16/31/4021/1722248/

文責:佐々木 陽典

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総合診療科助教の貴島祥先生が医学教養Ⅵで「フラクタル次元」について講義しました。

11月6日(水)1時限に貴島祥先生が医学教養Ⅵで「フラクタル次元」について講義しました。医学教養Ⅵは1−3年生を対象とした選択講義です。「臨床医学に役立つ複雑系科学入門」のシリーズ第7弾です。

台湾からの留学生も熱心に聴いていました。

少数精鋭の選択講義です。学生は誰も寝てません!貴島先生の流れるような講義に目を輝かせていました。臨床医の話す数学の講義はなかなか聴けません。

 フィードバック機構が生命維持の中心である生体では、多くの現象が周期的に出現し、初期値の変化によって思いがけない変化であるカオスを呈することもあります。周期的現象はフーリエの定理によって、シンプルな波形に集約され、周期関数はオイラーの公式によって、指数関数に変換されます。自己相似性を有する生体の物理的特徴を明らかにするフラクタル解析は、極めてシンプルであるがゆえに、生体の本質を浮き彫りにしてくれることが期待されます。

 なぜ、その病変は凸凹なのか?なぜその癌は陥凹しているのか?なぜ自然治癒が起こるのか?複雑系科学では様々な臨床の疑問に解を与えてくれます。

 貴島先生、素晴らしい講義をありがとうございました。

                          文責 瓜田純久

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JUGLERメンバーで佐賀に講演会+見学ツアーに行って参りました(2)

JUGLER佐賀ツアー2日目は佐賀大学総合診療部の朝のカンファレンスに参加させていただき、その後に、関連病院である富士大和温泉病院と祐愛会織田病院を見学させていただきました。

佐賀大学医学部附属病院総合診療部は数ある日本の国立大学病院総合診療部門の中で、1986年に最初に設置された歴史ある総合診療の古豪的存在です。

佐賀大学総合診療部の見学ではレジデントの先生が素晴らしいプレゼンテーションを行い、それに対して教授がいくつも鋭い指摘を投げかけ、多胡先生は退院後を含めた今後の診療方針について助言を与えており、伝統を感じさせる素晴らしいカンファレンスでした。

https://www.hospital.med.saga-u.ac.jp/hp/medicalcare/general/index.html

富士大和温泉病院は院内に温泉があり、山間にある穏やかな病院でしたが、患者数は多く、大変充実した研修が行えているようでした。佐賀大学総合診療科出身の常勤医による指導に加えて、医局から定期的に指導医が「訪問指導」に訪れて、実際にベッドサイドで一緒に回診・指導に当たるという素晴らしいシステムが構築されており、「指導医が出せないから関連病院での研修は困難」という先入観が打ち砕かれ、とても参考になりました。

後期研修医の先生が「大学病院では急性期治療をして転院させるまでがゴールだったけど、この病院で転院した後、退院した後や生活にまで継続的に関われることが研修の魅力」と語っていたことが印象的でした。

http://www.hospitalfj.saga.jp

(院内の温泉施設の見学に向かう鋪野先生)

東邦大学総合診療科では、大学病院であっても円滑な転院が行えないケースが少なくなく、大学の中で「急性期治療—退院調整—退院後の診療」まで行なっているのが現状です。これはこれで、大学内で退院後の患者さんの生活まで意識した診療研修が行える環境とは言えるかもしれません。しかし、病院の性質上、退院後の診療の研修に向いているとは言えません。大学病院と市中病院が良好な関係で連携して研修が行える佐賀大学総合診療科の研修システムは理想的なモデルの一つであると再認識しました。

信頼できる指導医がいる関連病院と患者さんや研修医をやり取りできる安定的な関係を構築できていることからも、佐賀大学病院総合診療科の歴史の重みとを実感しました。

祐愛会織田病院は全国的に知られている先進的な病院であり、病床数111床と小規模であるにもかかわらず、地域の開業医の先生からの入院を絶対に断らない「オープン病床」システムを導入しています。その維持のために、入院診療とシームレスな退院直後の在宅診療や、IT技術を駆使して、患者さんの自宅を病室と見立てて、タイムリーできめ細やかな在宅診療を遂行するためのMedical Base Campによる質の高い医療を実践している素晴らしい病院でした。医療経済が厳しさを増すなか、民間病院でありながら「患者のためにいい医療を実践していれば、保険制度は後からついてくる」という崇高な理念を貫く病院の姿勢に感銘を受けました。

また、佐賀大学病院総合診療科は医師の派遣だけではなく、織田病院で実践されている先進的な取り組みを研究という形で発信することで病院の価値を更に高めており、まさに理想的な関係を構築していると感じました。

http://www.odahp.com

今回の見学の最も重要な点はJUGLERのメンバーと共に見学して意見交換できたことです。それぞれの先生方が活発に質問・議論され、その様子からもエネルギーとヒントをもらえました(和足先生のパッションがすごかったです)。移動中に私の愚痴を聞いてもらえたことも癒しになりました(笑)。

素晴らしい機会を与えてくださった多胡先生、山下教授、藤原先生、林田さん、織田先生、森先生、西先生、をはじめとした佐賀大学総合診療科、富士大和温泉病院、織田病院の皆様に心より感謝申し上げます。

文責:佐々木 陽典

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