
総合診療科助教の貴島祥先生が医学教養Ⅵで「フラクタル次元」について講義しました。
11月6日(水)1時限に貴島祥先生が医学教養Ⅵで「フラクタル次元」について講義しました。医学教養Ⅵは1−3年生を対象とした選択講義です。「臨床医学に役立つ複雑系科学入門」のシリーズ第7弾です。

台湾からの留学生も熱心に聴いていました。

少数精鋭の選択講義です。学生は誰も寝てません!貴島先生の流れるような講義に目を輝かせていました。臨床医の話す数学の講義はなかなか聴けません。
フィードバック機構が生命維持の中心である生体では、多くの現象が周期的に出現し、初期値の変化によって思いがけない変化であるカオスを呈することもあります。周期的現象はフーリエの定理によって、シンプルな波形に集約され、周期関数はオイラーの公式によって、指数関数に変換されます。自己相似性を有する生体の物理的特徴を明らかにするフラクタル解析は、極めてシンプルであるがゆえに、生体の本質を浮き彫りにしてくれることが期待されます。
なぜ、その病変は凸凹なのか?なぜその癌は陥凹しているのか?なぜ自然治癒が起こるのか?複雑系科学では様々な臨床の疑問に解を与えてくれます。
貴島先生、素晴らしい講義をありがとうございました。
文責 瓜田純久
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JUGLERメンバーで佐賀に講演会+見学ツアーに行って参りました(2)
JUGLER佐賀ツアー2日目は佐賀大学総合診療部の朝のカンファレンスに参加させていただき、その後に、関連病院である富士大和温泉病院と祐愛会織田病院を見学させていただきました。
佐賀大学医学部附属病院総合診療部は数ある日本の国立大学病院総合診療部門の中で、1986年に最初に設置された歴史ある総合診療の古豪的存在です。
佐賀大学総合診療部の見学ではレジデントの先生が素晴らしいプレゼンテーションを行い、それに対して教授がいくつも鋭い指摘を投げかけ、多胡先生は退院後を含めた今後の診療方針について助言を与えており、伝統を感じさせる素晴らしいカンファレンスでした。
https://www.hospital.med.saga-u.ac.jp/hp/medicalcare/general/index.html
富士大和温泉病院は院内に温泉があり、山間にある穏やかな病院でしたが、患者数は多く、大変充実した研修が行えているようでした。佐賀大学総合診療科出身の常勤医による指導に加えて、医局から定期的に指導医が「訪問指導」に訪れて、実際にベッドサイドで一緒に回診・指導に当たるという素晴らしいシステムが構築されており、「指導医が出せないから関連病院での研修は困難」という先入観が打ち砕かれ、とても参考になりました。
後期研修医の先生が「大学病院では急性期治療をして転院させるまでがゴールだったけど、この病院で転院した後、退院した後や生活にまで継続的に関われることが研修の魅力」と語っていたことが印象的でした。

(院内の温泉施設の見学に向かう鋪野先生)
東邦大学総合診療科では、大学病院であっても円滑な転院が行えないケースが少なくなく、大学の中で「急性期治療—退院調整—退院後の診療」まで行なっているのが現状です。これはこれで、大学内で退院後の患者さんの生活まで意識した診療研修が行える環境とは言えるかもしれません。しかし、病院の性質上、退院後の診療の研修に向いているとは言えません。大学病院と市中病院が良好な関係で連携して研修が行える佐賀大学総合診療科の研修システムは理想的なモデルの一つであると再認識しました。
信頼できる指導医がいる関連病院と患者さんや研修医をやり取りできる安定的な関係を構築できていることからも、佐賀大学病院総合診療科の歴史の重みとを実感しました。
祐愛会織田病院は全国的に知られている先進的な病院であり、病床数111床と小規模であるにもかかわらず、地域の開業医の先生からの入院を絶対に断らない「オープン病床」システムを導入しています。その維持のために、入院診療とシームレスな退院直後の在宅診療や、IT技術を駆使して、患者さんの自宅を病室と見立てて、タイムリーできめ細やかな在宅診療を遂行するためのMedical Base Campによる質の高い医療を実践している素晴らしい病院でした。医療経済が厳しさを増すなか、民間病院でありながら「患者のためにいい医療を実践していれば、保険制度は後からついてくる」という崇高な理念を貫く病院の姿勢に感銘を受けました。
また、佐賀大学病院総合診療科は医師の派遣だけではなく、織田病院で実践されている先進的な取り組みを研究という形で発信することで病院の価値を更に高めており、まさに理想的な関係を構築していると感じました。
今回の見学の最も重要な点はJUGLERのメンバーと共に見学して意見交換できたことです。それぞれの先生方が活発に質問・議論され、その様子からもエネルギーとヒントをもらえました(和足先生のパッションがすごかったです)。移動中に私の愚痴を聞いてもらえたことも癒しになりました(笑)。
素晴らしい機会を与えてくださった多胡先生、山下教授、藤原先生、林田さん、織田先生、森先生、西先生、をはじめとした佐賀大学総合診療科、富士大和温泉病院、織田病院の皆様に心より感謝申し上げます。
文責:佐々木 陽典
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UGLERメンバーで佐賀に講演会+見学ツアーに行って参りました(1)
JUGLERとはJapan University General medicine Leadership and Education Roundtable日本大学総合診療リーダーシップ・教育円卓会議の略称のことです。2018年10月に「学会・専門医制度等の既存の枠に囚われず、自分たちの理想の病院総合医」の姿を明確にして、大学病院総合診療科の必要性を発信する」ことを目的に結成された大学病院総合診療科の若手リーダー達の集まりです。
メンバーは発起人の佐賀大学の多胡講師、獨協医科大学志水教授、順天堂大学高橋先生、千葉大学鋪野先生、島根大学和足先生、私(佐々木)からなり、5月の第10回日本プライマリ・ケア連合学会、9月の第19回日本病院総合診療医学会で病院総合医のコア・モジュールを提唱してきました。

(左から和足先生、鋪野先生、志水先生、多胡先生、私、高橋先生です。)
今回は相互理解と交流を深める為の試みとして、発起人である多胡先生に講演会と見学にご招待いただきました。
10月31日の夜に開かれた講演会では学生さんや研修医の先生を含めて若手からベテランの先生方まで大変多くの皆様にご参加いただきました。

私も学生の講義や学会発表等、かなりの場数を踏んできており、プレゼンテーションにはある程度自身がありますが、今回の講演会は、超一流のプレゼンターでもある先生方と共に登壇するということで、これまでで一番プレッシャーを感じました。ドキドキしながらの低ナトリウム血症に関する講演でしたが、「わかりやすかった」との感想をいただけて安心しました。

(緊張の面持ちの佐々木です)
「人生の目標は何か?」という問いかけから始まり、「キャリアプランを示してほしい」という願いは「安心させてほしい」という願いに過ぎず、「自分の未来に期待して、自分の将来に責任を持て」と喝破する高橋先生のお話は本当に心に響きました!

(TED顔負けのプレゼンをしてくださった高橋先生)
「日頃、根拠に基づいた医療を実践しているはずの医者が、根拠に基づいた教育を実践していない!」という現状への問題提起から始まった鋪野先生の講演では、金科玉条のように行われている「褒めて、叱って、褒める」というサンドイッチ・フィードバックが有効な教育法とは言えないこと等、留学されたマサチューセッツ総合病院医療者教育修士過程での経験を活かして、最新の知見に基づいてお話いただき、目から鱗でした。

(丁寧でわかりやすいレクチャーをしてくださった鋪野先生)
診断エラーに関する和足先生のお話では、ご自身の最新の研究結果をシェアしていただきました。判例を用いた診断エラーに関連した医療訴訟の危険性の高い初期診断名として「上気道炎」、「非出血性」、「異常なし」が示されているとの結果であり、まさに私達が後輩に対して、安易に「風邪」、「胃腸炎」、「便秘」
とゴミ箱診断したり、病歴(突然発症・増悪傾向等)を軽視して、初期検査で異常がなければ「異常なし」と判断してはならないと指導していることの妥当性を客観的に示した素晴らしいデータでした。そして、何よりも、このような実臨床で患者さんの安全を守るために大切な内容を研究論文として発信できる和足先生の辣腕に改めて感服しました。研究至上主義の大学病院が頂点である日本の医療の現状で、研究・論文という大学における共通の通貨を持つことで、新規参入組である総合診療の重要性を認知してもらう為に研究をリードする総合診療医Academic Hospitalistを育成することの重要性を痛感しました。

(情熱ほとばしるレクチャーをしてくださった和足先生)
診断戦略を総合診療領域の中核的な研究領域と位置付けてこの領域を牽引されている志水先生からはJUGLERの提唱するコア・モジュールを紹介していただいたうえで、診断戦略と生涯教育について、最新の診断戦略や教育における3つのReflectionとAbductionなどをご紹介いただき、講演会をまとめていただきました。

(この表情から察するに教育について「魁!男塾」のエピソードをお話されている時の志水先生では?)
(私の話はさておき)どの先生のご講演もそれだけで90分聴きたくなるような、他では絶対に聴けない貴重な内容でした。このような贅沢な講演会を実現してくださった多胡先生の行動力に脱帽です。

(これ以上ない素晴らしい講演会を実現してくださった多胡先生)
さらに講演会の後には、多胡先生のご厚意でお城のような素晴らしいレストランで楽しい時間を過ごさせていただき、JUGLERメンバーの熱い議論は夜中まで続きました。

講演会後のレストランで
私はプレッシャーから解放されて表情筋が弛緩しまくっています(笑)。
講演を企画してくださった多胡先生、医局秘書の林田さん、ご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。
文責:佐々木 陽典
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第11回日本安定同位体・生体ガス医学応用学会を大森病院で開催しました。
10月25日(金)26日(土)に第11回日本安定同位体・生体ガス医学応用学会を大森病院臨床講堂で開催ました。

本学会は1985年に設立された13C研究会と呼気病態生化学研究会が合流して発足し、11年目を迎えた学会です。34年の歴史があり、非侵襲的な医療の確立を目指して、多くの先生が参加してくれております。会員数170名のコンパクトな学会ですが、それだけにこの学会以外では遭遇することがないようなコアな発表が多く、活発な討論が行われます。

今回は弘前大学医学部附属病院 内分泌内科・糖尿病代謝内科 講師の柳町幸先生が会長を務めてくださいました。弘前大学のスタッフが大勢大森病院に参集し、円滑な進行でした。

安定同位体の報告は年々増えて行きますが、13Cの論文は伸び悩んでいます。東邦大学総合診療科は毎年13C関連論文を発表したしていますが、さらにアクセルを踏み込みたいと思います。

次回会長の松山大学薬学部 明楽一巳教授が特別講演をされ、薬物合成とその応用について、熱くお話しました。
活発な議論は懇親会へと続きました。

中村光男理事長からも、大変有意義な学会であったと、労いのお言葉をいただきました。

スタッフの皆さん、本当にご苦労様でした。前日の役員懇親会では、弘前大学の学生さんが貴重な日本酒を実家の酒蔵から提供していただきました。とても美味しくいただきました。ありがとうございます。

前回、大会長である横浜市大教授の稲森先生も、最後までご参加いただき、ありがとうございました。医学教育など、多くの意見交換ができました。

二次会は梅屋敷の食彩工房さんです。急な大勢で押しかけたのでに、美味しい料理をたくさん出してくれました。ありがとうございます。

会長の柳町先生は、重責から解放され、ホッとした表情です。本当にお疲れ様でした。素晴らしい学会をありがとうございました。
次回は愛媛県松山市で開催されます。また、みんなで参加して、勉強したいと思います。
事務局の佐藤さん、ありがとうございました。
文責 瓜田純久
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10月18日(金)佐々木先生がNHK Eテレ「チョイス@病気になったとき」に出演しました。
佐々木陽典先生がNHK Eテレ「チョイス@病気になったとき」に出演し、血尿についてお話しました。

尿管結石、膀胱癌、IgA腎症など、患者さんと泌尿器科 中島耕一教授のご協力をいただいて、とても解りやすい構成となっていました。

顕微鏡的血尿は医師国家試験にもよく出ます。肉眼的血尿は一旦よくなっても、必ず病院で検査を受けることが重要であると、強調していました。特に、膀胱癌の場合には、肉眼的血尿だけで来院する場合があり、注意が必要です。


すっかりNHKの常連となった佐々木先生ですが、今回はアクシデントがありました。当初は10月12日(土)の放送予定でしたが、台風15号の影響で延期となり、何と再放送が先に放送されました。10月12日(土)予定の番組は11月16日(土)20:00からオンエアされます。ご協力いただいた泌尿器科 中島教授も手術について丁寧に解説してくれています。ご指導ありがとうございました。
またご協力いただいた患者さんにも、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
文責 瓜田純久
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