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石井孝政先生、佐々木陽典先生がまとめてくれた伝染性単核球症についての論文がon-line掲載されました。

伝染性単核球症は極めてcommonな疾患ですが、その原因ウイルスが確定するには時間がかかります。石井先生、佐々木先生は多数例の検討から、EBVとCMV感染が通常の診察と血液生化学検査で鑑別できることを明らかにしました。

石井先生は3年目に循環器内科からのローテートで総合診療科を1年間研鑽してくれましたが、「もう少し勉強したい」と話して、4年目も総合診療科での研修を続けてくれました。5年目からは、循環器疾患だけを一生診ていくのは、自分が考えていた医療とギャップがあると話し、総合診療科に移籍し、現在に至っています。3年目の石井先生のチームに初期研修医として配属されたのが、佐々木先生でした。石井先生の明治方式の厳しい指導で、佐々木先生は大きく成長し、今回、二人で論文をまとめてくれました。

総合診療における研究分野は無限に広がります。60兆の細胞が共同作業を行う生体において、臓器別、疾患別に分類する方法は、紀元前から行われている手法です。還元論的研究法の長所・短所を理解して我々も用いていますが、同時に分類によって見えなくなるものがあることも知り、敢えて分けずに検討する手法も積極的に取り入れています。

多くの情報を集めて、その背後にある法則を見つけ出す極めてオーソドックスな手法は、臨床研究において重要です。同時にその背景について、藁半紙と鉛筆で推論を展開できる基礎医学、自然科学の知識も総合診療にとって極めて重要であり、ぜひとも身につけたいスキルです。

外来、入院、教育に忙殺される中、よく論文をまとめてくれました。極めてcommonな疾患で論文を作成するスキルこそ、真の臨床力の指標となるように思っています。あっぱれです!

 

     文責 瓜田純久

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2月1日に第15回日本消化管学会総会学術集会に参加してきました。

2月1日・2日に佐賀大学主催で佐賀・ホテルグランデはがくれで開催された第15回日本消化管学会総会学術集会に参加して参りました。

今回の内容としては貴島先生および瓜田教授のご指導の下、私の大学院での研究テーマであるフラクタル解析を用いて消化管内視鏡画像の解析を行った結果を発表させていただきました。フラクタル解析により正常内視鏡像と疾患画像でフラクタル次元を算出しました。疾患により組織構造の変化が起こるため、それによるフラクタル次元の変化が起こると考えられ、実際に解析を行ったところ次元の変化を認める結果となりました。これによりフラクタル次元は疾患による組織構造変化を反映している可能性が示唆され多と考えております。

学会のプログラムにおいて‘‘「消化管画像診断」医工連携による次世代画像診断の開発‘‘というコアシンポジウムのセッションで採択をいただき、他大学の先生方も自走式カプセル内視鏡や3D内視鏡、近赤外線ハイパースペクトルイメージングなど普段は目にすることのできない次世代画像診断方法を拝見することができ大変興味深いセッションとなっておりました。

また私が研究しているフラクタル解析に関連する、人工知能を用いたが画像診断の開発についても多くの発表がなされており、やはりDeep learnigの進歩は目覚ましく、人間の目を超えたと言われている中、様々な検討やリアルタイムでの解析などを見ることができ大変勉強になりました。今後の実臨床への適応も間近となっているとのことでフロアからも期待の声が上がっていました。

私が研究しているフラクタル解析は、通常科学でありながら、複雑系の自己組織化のカオスをひも解く方法でありこれまでとは画像解析方法の方法論が異なりますが、やはり還元論では説明のつかない事象が生命を含め自然科学では多いため今後の医療を含め科学の発展につながる研究と考えています。今後も研究を進めていき、また新たな発表ができるよう努めていきたいと思います。

学会の際には2018年に退任された中嶋先生にお越しいただきました。また、学会に伴い外来など小生不在の際に貴島先生、前田先生にお力を貸していただき、この場を借りて御礼申し上げます。

 

文責:小松史哉

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General Medicine 2019 漢方ベースキャンプ in 東京 を開催しました。

1月31日(木)第2回General Medicine 2019 漢方ベースキャンプ in 東京をお茶の水で開催しました。この企画は、順天堂大学、日本医科大学、東京医科歯科大学、東邦大学の総合診療科が中心となり、総合診療において大きな武器となる漢方治療についてのレベルアップを目的とした企画です。

 

Work upしても「異常ないから、心療内科へ行ってください」というフレーズは専門診療科の臨床現場でしばしば聴かれる会話です。しかし、本当にメンタル系診療科での治療が必要な方とは限りません。紹介されたメンタルの先生も対応に苦慮する場合が少なくありません。そんなとき、漢方診療が大きな福音となる場合があり、総合診療医にとって、是非とも身につけたいスキルです。

九州大学総合診療科の貝沼先生の講演は、明日の診療に役立つ実践的な内容で、漢方知識がほとんどゼロの我々にも理解しやすい内容でした。医学部学生、研修医の先生も多く参加してくれて、活発な質疑が行われました。

 

1月31日はローテート最終週でもあり、参加してくれた4名の研修医とお茶の水の沖縄料理で打ち上げをしました。12月―1月とインフルエンザが蔓延する外来で、4名とも元気に働いてくれました。救急車受け入れも決して断ることがない総合診療科では、病棟も常時50名以上の入院があり、重症患者も多くなります。3チームに分かれて研修医たちは必死に診療し、多くの患者さんから信頼を得て、指導医たちは舌を巻いていました。本当にお疲れさまでした。この2ヶ月の研修は、初期研修の中でももっとも濃密なものだと思います。鈴木先生、三浦先生、清水先生、井上先生、あっぱれ!

                   文責 瓜田純久

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東大和市医師会 第17回市民講座で脂質代謝異常の講演をさせていただきました。

1月19日(土)東大和市医師会が開催する第17回市民講座で脂質代謝異常の講演をさせていただきました。

東大和市医師会は本学の先輩である小児科の有村先生が医師会長として活躍されているご縁で、小医に講演の機会をいただきました。インフルエンザが猛威を振るう1月中旬に、300名以上の方々にご来場いただきました。

脂質代謝異常における心血管イベントの関連だけではなく、尿路結石、下痢、慢性疼痛との関連などもお話させていただきました。また、善玉脂肪酸ω3脂肪酸の効能と、検査を受けるときの注意、医療現場の矛盾など、プロの患者さんが飽きない内容としました。

 

補助椅子が必要になる満員御礼でした。皆様、ありがとうございます。

 

講演後は、「西の原爆ドーム、東の変電所」といわれる戦争遺跡の変電所を訪れました。周囲が19kmで人口8万人以上の東大和市は、コンパクトな街並みです。その中央に戦争遺跡が大事に保存されていました。

砲撃の弾痕が生々しい変電所です。これがたった73年前の出来事とは思えません。会場でお会いした市長さんは、東大和市のシンボルとして永久保存すると話していました。歴史を大事にする自治体は、小さくても輝き続けるような気がします。

有村先生、そして司会を担当して下さった川上先生、大変お世話になり、ありがとうございました。

 

          文責 瓜田純久

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糖尿病専門医、総合内科専門医である竹本育聖先生の論文がActa Diabetologicaに掲載されました。

暮れも押し迫った12月29日に糖尿病専門医、総合内科専門医である竹本育聖先生の論文がActa Diabetologicaにonline publishされました(https://doi.org/10.1007/s00592-018-1276-y)。

 

竹本先生は埼玉医科大学を卒業し、東邦大学医療センター大森病院で初期研修を行い、その後総合診療科に入局してくれました。合併症の多い糖尿病患者に対して、血糖コントロールから合併症治療まで行うことができる医師を目標に掲げていました。3年間の後期研修を総合診療科で行い、内科学会認定医を取得後に蒲田総合病院 糖尿病内科で3年間の研鑽を積み、糖尿病専門医を取得しました。その後、東邦大学医療センター大森病院 総合診療科の助教として、臨床・教育・研究に意欲的に取り組んでいます。その間、臨床データをコツコツと積み重ね、今回の論文発表に繋がりました。昨年のインパクトファクター3.12と一流誌に掲載された論文は、竹本先生が総合診療科でゼロから築き上げた糖尿病診療の結果です。パイオニアとして、頑張ってくれました。

 

グルコースはエネルギーの最小単位と考えがちですが、構成炭素の運命は異なっており、それを利用して糖尿病の病態を掘り下げた論文です。なんと、reviseなしてacceptされました。3種の呼気試験を組み合わせた診断は、東邦大学のオリジナルであり、その点が評価されたようです。

竹本先生の外来は糖尿病だけでなく、多彩な疾患をもつ患者さんで溢れています。これからも、患者さんからいただいた貴重なデータを大事に大事に解釈し、多くの論文を書いて、臨床に還元していきましょう。

竹本先生、本当にお疲れ様です。また、頑張りましょう!

 

                           文責 瓜田純久

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