一般的に、どこの科に行っても、各臓器別に専門医は取得できると思います。ただ、大森病院の場合、総合診療科のなかに感染症を中心に診ていく部門があります。そのため、今の段階では、総合診療科に属して感染症専門医の取得を目指すのが、一番の近道であり、最適なルートだと思います。総合診療科なので、感染症の患者さんだけではないのですが、できる限りたくさんの症例を診られるように努めています。その一方で、常日頃から多種多様な疾患に触れ、専門にとらわれない姿勢でいるように指導しています。そのため私のチームのメンバーは、ほかの各班のコンサルテーションを受けたり、HIV、梅毒といった専門的な疾患も診させていただいたりしています。
私は研修医時代、専門診療科を回っていたときに、どうしても専門の臓器ばっかりを見てしまい、別の臓器のことが完全に頭から外れてしまうという経験がありました。「人は見ていないと、見えなくなってしまう」という恐ろしさを、すごく実感したんですね。そこで常に全身を診るマインドを持つために、総合診療科に入りました。今も、診療というものは、やはり全身を診ることで成り立つと思っています。特に感染症に関して言えば、そもそも特定の臓器に限ったものではありません。「全身を診る」という総合診療科のスタンスは、感染症診療にも必ず必要と考えます。若手の先生にも、その意識を大切にするように、今後も指導していきたいと思います。