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2026年
8月8-9日に七夕祭りが開催されていた仙台で行われた第33回日本病院総合診療医学会学術総会に参加しました。今回は、座長、企画、研究会議、一般演題の口演とポスター発表を一つずつなど、学会の最初から最後までさまざまな形で関わる機会をいただき、大変充実した学会となりました。
診断推論セッション「JUGLER」で初めての座長
学会初日の最初、第1会場で開催された「症例検討から学ぶ診断推論戦略 by JUGLER(Vol.16)」では、いつものディスカッサント特攻隊長(一番最初に発言する役)ではなく、今回は初めて座長を務めました。
志水太郎先生、和足孝之先生、髙橋宏瑞先生に加え、今回は天野雅之先生、石塚晃介先生にも新たにディスカッサントとして参加いただきました。
池田晃太朗先生、石橋花先生から提示いただいた高齢者の意識障害症例をもとに、複数の問題をどのように切り分け、診断推論を進めるかについて熱い議論が展開されました。朝一番にもかかわらず多くの方に参加いただき、まさに“発熱した”セッションとなりました。

プログラムディレクターミーティング
「専攻医が自分の価値を感じられるようにするためにはどうしたらいいか?」をテーマに、赤澤賢一郎先生、河邊拓先生とともにファシリテーターを務めました。
ご当地のお菓子をつまみながら、総合診療の魅力をどう伝えるかをグループごとに議論し、和気藹々としながらも非常に活発な会となりました。
このような、田妻理事長、志水専門医制度委員長が同席した状態で指導医が現場で専攻医をいかに教えるかについて相談して率直に語り合う場が毎回設けられていることも、本学会の大きな魅力だと感じます。一緒に企画を進めてくださった赤澤先生、河邊先生にも改めて感謝したいと思います。
日本東洋医学会とのジョイントシンポジウム
「総合診療医のスキルとしての漢方臨床のコツ・漢方医との連携の可能性」では、日本東洋医学会副会長でいらっしゃる高山真先生とともに座長を務めました。
十分な漢方教育を受ける機会が少なかった中堅世代の総合診療医と、若手医師の減少という課題を抱える東洋医学側が、お互いのニーズや教育・研修のあり方について率直に意見交換しました。
特に、総合診療医が漢方を考えることの多いMUS(Medically Unexplained Symptoms)の診療は、漢方専門医にとっても決して容易ではないというお話が印象的でした。
学会の病院総合診療専門医プログラムの作成に関わってきた身として、今回の議論を通じて、学会の病院総合診療専門医プログラムにおける東洋医学科研修についても検討する必要性があるかもしれないと感じました。
東邦からも症例発表
甲藤大智先生は、沖縄県立中部病院で経験した症例を「リンパ節腫脹を伴わないバルトネラ症の一例」として見事にポスター発表してくれました。研修先での貴重な経験を学術的な形にして発信してくれたことを嬉しく思います。

私自身も久しぶりに、「麻疹による伝染性単核球症様症候群の一例」を一般演題として口演し、「皮下腫瘤を主訴に受診した全身性原発性B細胞リンパ腫の一例」をポスター発表しました。
周囲からは「教授になっても自分で一般演題を発表するんですね」と少し驚かれたりもしつつ、自分としては久しぶりに一演者として症例をまとめ、発表できることが純粋に楽しく感じられました。
一般演題は、なんと学会最後のセッションの最終演題。最後まで残って発表するという意味でも、思い出深い発表となりました。

撮影してくれたのは、なんと獨協医科大学の志水太郎教授でした!ありがとうございました。
また、ポスター会場では他施設の先生方の発表からも多くを学びました。最近は管理・教育・研究などの業務に追われ、臨床医として症例から学ぶ姿勢が少し疎かになっていたのではないかと反省するとともに、改めて症例報告やポスター発表から得られる学びの大きさを実感しました。

学会主導研究も着実に進行
JAPAN研究では、鈴山裕貴先生から急性肝性ポルフィリン症に関する中間報告3が発表され、来年9月の最終報告に向けて研究が進んでいます。
さらに、JAPAN研究に続く学会主導多施設共同研究「EXPLORE-HAE研究」も、相原秀俊先生から初めての中間報告が行われました。
同じ時間帯には研究進捗会議・コア施設会議も開催され、約3時間にわたって濃密な議論を行いました。今回は私が進行を務めましたが、多くの先生方のおかげで大変意義深い会となりました。
潘先生が最優秀症例論文賞を受賞!
そして今回、大変嬉しいニュースがありました。
潘家琳先生が代表著者を務めた症例報告”IgA Vasculitis Presenting with IsolatedAbdominal Pain: A Case Diagnosed through Hypothesis-driven Physical Examination”が、『JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE』最優秀症例論文賞を受賞しました。受賞後のコメントも、潘先生の誠実さと向学心が伝わる素晴らしいものでした。症例報告を丁寧に指導してくれた小松先生にも感謝したいと思います。

久しぶりのMeet the Experts
自分たちが創立メンバーとして立ち上げに関わった若手医師部会主催の「Meet the Experts(MTE)」にも数年ぶりに参加しました。
想像以上の参加者数と会場の活気に驚きました。特に女性の参加者が増えていたことも嬉しく、若手の先生方が憧れの先生と直接話せる、素晴らしい交流の場に成長していることを実感しました。
そして今回は、私自身も憧れていた先生と直接お話しする機会をいただくことができました。 若手のための企画として始まったMTEですが、年月を経ても、立場や世代を越えて人と人をつないでくれる場であることを改めて感じました。
今回、私の発表をほぼすべて撮影し、潘先生との記念写真まで撮ってくれた石井先生にも心から感謝です。
今回の学会を通じて、症例から学び、発表し、他の先生方と議論する楽しさを改めて実感しました。
こうして学会に参加できたのも、東邦で留守を守り、日々の診療を支えてくれた医局メンバーのおかげです。心から感謝しています。
次回の第34回学術総会は東京開催です。ぜひ次回は、東邦から多くのメンバーで参加し、一緒に学会を盛り上げたいと思います。
文責:佐々木 陽典
森先生は、臨床・研究・教育のいずれにも熱心に取り組み、常に新たな知識や技能の習得を目指す向学心に富んだ医師です。今回の症例報告も、日々の診療で得た経験を学術的に深め、形にしようとする森先生の姿勢が結実したものと考えています。総合診療・感染症診療で培った知識と経験を生かし、救急医療を含む幅広い診療に取り組むとともに、今後も臨床・研究・教育の各分野でのさらなる活躍が期待されます。
本症例の診療に携わり、論文の執筆および完成までご指導・ご協力くださったすべての先生方、関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
文責:佐々木 陽典


(https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/advpub/0/advpub_7672-26/_pdf/-char/enから抜粋)
先日、NHK Eテレで放送予定の『“健康迷子”のあなたへ 腹痛』の収録に参加してきました。
番組では、夏に注意が必要な腹痛の原因の一つである細菌性腸炎・食中毒やアニサキス症についてお話ししました。
一方で、食器洗い用スポンジやタオルをどのくらいの頻度で交換すべきか、どのように消毒すればよいかといった、普段の診療や研究とは少し異なる内容についてコメントする場面もあり、慣れないテーマに苦労しながらの収録となりました。
今回の番組が、腹痛や食中毒の予防について考えるきっかけになれば幸いです。
また、私の子どもたちがゲストの錦鯉・長谷川雅紀さんのファンであるため、サインをお願いしたところ、快く応じてくださいました。子どもたちに宛てた、とても温かく素敵なサインを書いていただき、子どもたちも大喜びでした。
親切にご対応いただいたことに心より感謝申し上げます。
放送は、2026年7月19日(日)19時00分~19時44分、NHK Eテレの予定です。感染性腸炎やアニサキス症とその予防について解説していますので、よろしければぜひご覧ください。
番組名:『“健康迷子”のあなたへ 腹痛』
放送予定:2026年7月19日(日) 19時00分~19時44分
放送局:NHK Eテレ
文責:佐々木 陽典
今回のテーマは、
「水と薬が飲めれば大丈夫!?―脱水のときに気をつけること」
です。
脱水は、単に体内の水分が不足した状態ではなく、塩分などの電解質も同時に失われていることが重要なポイントです。特に高齢者や基礎疾患のある方では、軽い脱水から急速に状態が悪化することがあります。
また、食事や水分を十分に摂取できない状態で、高血圧や糖尿病などの薬を普段どおり服用すると、血圧低下、腎機能障害、電解質異常、低血糖などを引き起こす場合があります。一方で、インスリンなど自己判断で中止してはいけない薬もあるため、体調不良時には早めに医療機関へ相談することが大切です。
本号では、内分泌・代謝、小児科、消化器内科、循環器内科、腎センターなど各診療科が、それぞれの専門的な立場から脱水について解説しています。暑い季節を安全に過ごすため、ぜひご一読ください。
広報誌「おかげさん」VOL.017(2026年夏号)はこちら
文責:佐々木 陽典

ChatGPTで作成
金城先生は、長年にわたり沖縄県立中部病院で総合内科診療と研修医教育に携わり、現在は琉球大学で卒前医学教育に尽力されています。病歴聴取、身体診察、臨床推論のエキスパートであり、私自身も沖縄で多くのことを教えていただいた大切な恩師です。
今年の講義のテーマは「腹痛」でした。患者さんからどのように話を聞き、得られた情報を整理し、身体診察によって診断に近づいていくのか、その一連のプロセスを実践的に教えていただきました。
講義では、金城先生ご自身が患者役を務めました。さらに、腹巻きに「あばら」と「へそ」を描き込んだ手作り腹部診察シミュレーター「金城先生のお腹」が登場しました。学生たちは金城先生に実際に病歴を聴取し、「金城先生のお腹」を診察しながら、腹痛の原因を考えていきました。
学生からの質問や診察所見に応じて少しずつ新しい情報が提示され、考えるべき診断が変化していきます。単に知識を聞くだけではなく、自ら質問し、診察し、考え、金城先生との対話を通じて診断に迫っていく、非常にインタラクティブで臨場感あふれる講義となりました。
私自身も、腹痛の診断や体性痛・内臓痛についてはこれまで学生に丁寧に教えてきたつもりでした。しかし、今回の講義で学生たちの反応を目の当たりにし、私が伝えたつもりになっていた内容が、驚くほど十分には伝わっておらず、実際に活用できる知識として習得されていなかったことを思い知らされました。教えることと、学生が理解し、実践できるようになることは別であると痛感し、教育方法を改めて見直さなければならないと深く反省しました。
検査に頼る前に患者さんの話を丁寧に聞き、自分の手で診察し、そこから得られた情報をもとに考えることは、臨床医学の基本です。一方で、その基本を本当に身につけることの難しさと奥深さを、学生たちも実感したのではないかと思います。
私自身も学生たちと一緒に金城先生の診療と思考のプロセスを追体験し、腹痛診療だけでなく、医学教育のあり方についても大変勉強になりました。毎年、遠方から本学の学生のためにお越しいただき、惜しみなく知識と経験を伝えてくださる金城先生に、心より感謝申し上げます。


6月14日(日)に東邦大学医療センター大森病院において第18回東邦大学JMECC(Japanese Medical Emergency Care Course:内科救急・ICLS講習会)を開催しました。
JMECCは、心停止への対応に加え、緊急性の高い内科疾患に対する初期評価と対応を体系的に学ぶ教育プログラムであり、内科専門医の取得に必要な講習の一つです。
今回は、日頃より大変お世話になっている西川正憲先生(藤沢市民病院前院長)にディレクターとしてお越しいただきました。西川ディレクターのもと、一流の指導者である小山雄太先生(吉祥寺あさひ病院)、泉谷昌志先生(東京大学)にもご指導いただきました。
また、本学でJMECCの開催を始めた当初から継続してお力添えをいただいている石井孝政先生(獨協医科大学埼玉医療センター)、美甘周史先生(東邦大学医療センター佐倉病院)にもお越しいただき、充実した指導体制のもとで講習を実施することができました。
本学のJMECCは、これまで前任の瓜田純久教授のリーダーシップのもと、総合診療科が中心となり、学外の指導者の先生方のお力を借りながら、企画・運営を一手に担ってきました。長年にわたり本学の内科医教育を支えてくださった瓜田前教授と、継続してご協力いただいてきた学内外の先生方に、改めて深く感謝申し上げます。
今回の開催で特筆すべき点は、近年では最も多くの東邦大学所属の先生方に、指導者として参加していただいたことです。これまで学外の先生方に支えていただきながら積み重ねてきたJMECCが、学内の指導者の育成と参加の広がりによって、次の段階へ進みつつあることを実感する機会となりました。
JMECCで扱われる重要なテーマの一つに、院内で急変の兆候を早期に察知し、重篤化する前に組織として対応するRapid Response System(RRS)があります。当院においても、総合診療科は内科救急への対応にとどまらず、病院全体の急変対応を支えるRRSの一翼を担っています。講習で学ぶ知識や技術を、個々の医師の救急対応能力の向上だけでなく、病院全体の患者安全の向上につなげることが重要です。
内科専門医の育成に不可欠なJMECCを、東邦大学の内科医が自ら指導し、次の世代の内科医を継続的に育てられる体制を構築することは、本学の診療と教育の質を高めるうえで大きな意義があります。
今後も、これまでご支援いただいてきた学外の先生方のお力をお借りしながら、診療科や病院の垣根を越えた学内の連携をさらに深め、将来的には東邦大学が主体となってJMECCを安定して開催し、自らの手で内科医を育成できる体制づくりを進めてまいります。
ご多忙のなか、ディレクターおよび指導者としてご参加いただいた先生方に、心より御礼申し上げます。
文責:佐々木 陽典
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6月15日に医学部4年生を対象に、それぞれ異なる現場の第一線で活躍する総合診療医を講師に迎え、グループワークを交えた講義を行いました。
講師を務めていただいたのは、沖縄県立中部病院、沖縄県立八重山病院、南大東診療所での勤務を経て、現在は生協浮間診療所で家庭医として活躍されている菊池徹哉先生、同じく沖縄県立中部病院で研鑽を積み、現在は大田区を拠点に在宅診療の若き担い手として活躍されている田代和馬先生、そして当科の若手医師である繁田先生の3名です。
1限目は、菊池先生から、僻地や離島などの医師少数地域における総合診療医の役割についてご講義いただきました。
家庭医療は、病気を生物医学的な側面から診るだけの医療ではありません。菊池先生からは、家庭医療学の先駆者であるマックウィニーが示した、他領域にはない4つの視点:「関係性に基づいた診療」、「個別の患者で考える視点」、「有機体論的な生物学」、「心身二元論を超越する視点や、MillerとCrabtreeが示した「患者の4つの顔」という考え方が紹介されました。患者さんは、細胞・臓器・病態から捉える「生物としての身体(Human Animal)」であると同時に、固有の生活史や人間関係、人生の意味をもつ「人としての存在(Person)」でもあります。また、制度や情報、費用などを考慮しながら、自ら受ける医療を選択する「医療を選ぶ人(Techno-consumer)」という側面をもち、不安や喪失、孤独を抱える「苦しむ者(Patiens)」でもあります。
特にプライマリ・ケアでは、これら4つの側面のうち、どれか一つだけを優先して診療できるとは限りません。生物医学的な問題への対応だけでなく、その人の生活や価値観、医療を受けるうえでの現実的な条件、さらには患者さんが抱える苦しみにも目を向け、それぞれを同じ重みで捉えることが求められます。
菊池先生からは、こうした家庭医療学の考え方が、医療資源の限られた僻地や離島において、目の前の患者さんと地域を支える実際の診療にどのように生かされているのかを、豊富なご経験と具体的な事例を交えてお話しいただきました。
2限目は、田代先生から、都市部のコミュニティにおける総合診療医の役割についてご講義いただきました。本学のある大田区・大森周辺の実例を踏まえながら、高齢化、独居、生活困窮、社会的孤立など、東京という大都市が抱えるさまざまな課題と、それらに向き合う在宅医療・総合診療の可能性について、熱のこもったお話をいただきました。
また、患者さんが抱える不安を丁寧に分析し、その中にある「未知への不安」を一つずつ減らしながら、安心を積み重ねていくことこそが医療である、という田代先生の信念も語られました。病気を治療するだけでなく、患者さんがこれからの生活を見通せるように支えることの大切さを、具体的な診療事例を通じて学生たちに伝えていただきました。
3限目は、当科の繁田先生から、時に「大学病院には必要ない」と言われることもある総合診療医が、大学病院の中でどのような役割を果たしているのかについて、「継続性」を軸に講義していただきました。
診断や治療だけでなく、患者さんの経過を継続して見守り、複数の診療科や院内外の医療をつなぐことも、大学病院における総合診療医の重要な役割です。また、複数の疾患や複雑な生活背景をもつ患者さんに対応する総合診療では、医師だけで問題を抱え込むのではなく、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、リハビリテーション専門職などと協働する多職種連携が、特に重要であることについてもお話しいただきました。
各講義ではグループワークも行われ、学生たちは具体的な事例について自ら考え、互いに意見を交わしました。それぞれ異なるフィールドの第一線で活躍する先生方による、実例に基づいた講義が、学生たちに何らかの新たな気づきを与える機会となったことを願っています。
離島・僻地、都市部の在宅医療、大学病院と、働く場所によって総合診療医の仕事や求められる役割は異なります。しかし、その背景には、患者さんを病気だけでなく、その人の生活、家族、地域、価値観まで含めて捉えようとする「General mind」や、不確実な状況から逃げず、患者さんのために一歩を踏み出す「Clinical courage」といった、共通する価値観と信念があります。今回の3限の講義を通じて、学生たちがその共通した精神を感じ取り、今後の学びや医師としての歩みにつなげてくれることを期待しています。
さらに6月23日には、米国で総合内科医として活躍され、病歴聴取、身体診察、臨床推論のエキスパートであり、私自身の師でもある金城紀与史先生をお招きし、2限連続でご講義いただく予定です。引き続き、総合診療の魅力と奥深さを、第一線で活躍する先生方から直接学ぶ機会を学生たちに提供してまいります。

文責:佐々木 陽典
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当科で取り組んできた、呼気中の成分を用いた前立腺がん診断に関する研究論文が、国際
学術誌「Asian Pacific Journal of Cancer Prevention」に掲載されました
。(https://journal.waocp.org/?sid=Entrez:PubMed&id=pmid:41793654&key=2026.27.3.779)
Sasaki Y, Matsumura T, Shitanaka Y, Urita Y. Breath Aldehyde Profiling using PFBHA-
GC/MS as a Prostate Cancer Biomarker. Asian Pac J Cancer Prev. 2026;27(3):779-782.
(邦題:前立腺がんバイオマーカー探索を目的としたPFBHA-GC/MSによる呼気アルデヒド分
析)
前立腺がんの検診では、一般的に血液中のPSAという値が用いられています。しかし、PSAが
高くても必ずしもがんとは限らず、診断を確定するために身体への負担を伴う前立腺生検が
必要となる場合があります。そのため、より簡便で身体への負担が少ない検査方法の開発が
求められています。
今回の研究では、人が吐く息の中に含まれる微量な化学物質に着目しました。がん細胞の代
謝などによって生じる可能性がある12種類の「アルデヒド」を測定し、前立腺がんの患者さんと
、前立腺がんが認められなかった方との間に違いがあるかを検討しました。
その結果、今回用いた測定方法では、呼気中の個々のアルデヒド濃度から前立腺がんの有
無を判別することはできませんでした。また、多くの成分が非常に低い濃度で存在しており、現
在の測定装置では十分に検出できないことも明らかになりました。
一見すると否定的な結果ですが、呼気による前立腺がん診断を実現するためには、単一の成
分だけを調べるのではなく、より高感度な分析装置を用いて複数の成分を組み合わせて評価
する必要があることを示した、重要な基礎的知見と考えています。呼気検査は痛みを伴わず、
繰り返し実施できるため、将来的には血液検査や画像検査を補う検査方法となる可能性があ
ります。
本研究を進めるにあたり、ご指導いただきました瓜田前教授、日本大学の松村先生をはじめ、
共同研究者の先生方に心より御礼申し上げます。
また、本研究にご理解とご協力をいただきました患者さんならびに関係者の皆様に、深く感謝
申し上げます。
今回得られた知見を生かし、呼気検査による身体への負担が少ない診断の開発に向けた研
究を継続してまいります。
文責:佐々木 陽典
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このたび、当科の若手リーダーとして日々診療・教育・研究を牽引している小松史哉先生が筆頭著者として執筆した症例報告が、日本病院総合診療医学会公式英文誌 Journal of Hospital General Medicine に掲載されました【J Hosp Gen Med 2026;8(2):83-88】。
論文タイトルは
“Immune checkpoint inhibitor–related myositis initially presenting with fever alone”
「発熱のみで発症した免疫チェックポイント阻害薬関連筋炎の一例」
です。
本症例は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与後に発症した筋炎でありながら、初発症状が「発熱のみ」であった点が特徴的です。筋痛や嚥下障害といった典型的な筋炎症状は遅れて出現しており、当初は原因不明発熱(FUO)として精査が進められました。その後、MRI所見や臨床経過、各種鑑別の除外によりICI関連筋炎と診断され、速やかなステロイド治療により改善が得られました。
本症例は、ICI関連筋炎のような稀な免疫関連有害事象(irAE)が、非特異的な症状のみで発症しうることを示すとともに、「診断に至るまでの経時的な情報の蓄積」と「繰り返しの臨床評価」の重要性を強調するものです。特に、発熱というありふれた症候の背後に重篤な病態が潜む可能性を常に念頭に置く総合診療医の視点が、診断に大きく寄与した意義深い報告といえます。
さらに本論文では、腫瘍随伴筋炎とICI関連筋炎の鑑別に関する整理された比較表も提示されており、両者の臨床的特徴、発症時期、検査所見、治療反応の違いを体系的に理解できる実践的な内容となっています。この点も、本症例報告の学術的価値を一層高める重要なポイントです。
本研究成果は、日常診療の中での違和感や疑問を丁寧に追究し、学術的成果へと昇華させる当科の文化を体現するものです。小松先生のリーダーシップのもと、若手医師が主体的に学び、発信する好循環が生まれていることを大変誇らしく思います。
小松先生、このたびは誠におめでとうございます。今後のさらなるご活躍を心より期待しております。
文責:佐々木 陽典


MRI所見(○部分に筋炎を示唆する高信号域が認められます。)
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